TampereとHuawei

Huaweiがタンペレに研究所を設置して今年ではや4年目になります。
当初は元PureViewチームが目立ちましたが、周りは研究所だらけ。AAC Technologiesの研究所に移籍された方や、昨年10月にできたXiaomiの研究所に移られた方も既にちらちら確認できます。

そもそもなぜHuaweiがタンペレに研究所を設置したのかというと、一つはナ◯゛ラ氏のせいだと思うんですけどもう一つは、”タンペレ イメージング エコシステム”という大学から中小企業、多国籍企業を結ぶネットワークが構築されているからです。(山形も有機エレクトロニクスでこんなことやろうとしてましたね)

2019年にタンペレイメージングエコシステムに参加しているさまざまなイメージングテクノロジー企業の選択
TAMPERE IMAGING ECOSYSTEM

このエコシステムの鍵はタンペレ工科大学(TUT)です(※昨年タンペレ大学(UTA)と併合し、タンペレ大学(TUNI)になりました。)

同大学の信号処理研究センターには受賞歴のある教授による複数の研究グループがあり、企業は共同研究を行うことが可能です。学生はインターンで企業での研究を経験し人脈を作ることもできますし、また専門的な知識を得た卒業生を企業は継続的に採用することができます。

そしてHuawei R&Dセンターはそのタンペレ大学のキャンパス内にあるのです。昨年のMate 30 Proや 今年のP40Proに搭載されたBM3D(block-matching and 3D filtering)がそのエコシステムによる成果の一つです。

“we worked with the University of Tampere and invented block-matching and 3D filtering (BM3D) technology for noise reduction. With this technology, people can use cellphone cameras to take clear photos in the dark.”

Ren Zhengfei’s Northern European Media Roundtable

このBM3Dと呼ばれるノイズ除去技術は2007年にタンペレ工科大学の論文により発表されました。
これは従来の、例えばNLM(Non-local means:ターゲットとなるピクセルに対して画像全体をスキャンし、似ているピクセルの色の平均に置き換える技術)のような単にピクセルの平均をとるといった方法ではなく、ターゲットとなる画像のブロックに対し似ているブロックを積み重ね平均化し、ノイズを除去するというものです。

赤がターゲットとなるブロック、青が類似ブロック
Block-matching exampleより
512×512の画像、PSNR8.13(左)の画像ががPSNR 24.14 dB(右)までノイズが除去されてる。
Fragment of Barbara, σ=100より

タンペレ大学の研究チームと元Nokia社員によるスマートフォンへのBM3Dアルゴリズム搭載はHuaweiがタンペレに研究所を設置したことによる恩恵の一つです。
そのうちXiaomiのスマートフォンにも搭載されるんじゃないですかね。

ところでそのXiaomiの研究所、設立時は20名ちょいだったそうなのですがそのほぼ全員が前職Intelというなんとも興味深いものなのです。プロジェクトチームの一つでも解散したのでしょうか?

リーダーのJarno Nikkanen氏は2000年から2011年ごろまでNokiaでアルゴリズムの設計を担当しその後Intelへ、そしてXiaomiといった凄い方なので楽しみです。

参考

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